生没年・出身地・歿地・墓地
パウル・ヒンデミット生誕 Paul Hindemith
(1894年11月16日フランクフルト近郊ハ-ナウ生)
(1963年12月28日フランクフルト・アム・マインで没)
1.職業
ドイツの作曲家・指揮者・ヴァイアリニスト・ヴィオラ奏者・音楽理論家・教育者
2.称号
3.経歴
父は職人、母はメードの家庭に育つ
音楽的才能は早くから認められる
1902年一家はフランクフルト市に移る
1904年9才の時からヴァイオリンを習う
1908年フランクフルト・アム・マインのホーホ音楽院に入り奨学金を受ける、ヴァイオリンをアドルフ・レープナー、作曲法と指揮法をアーノルド・メンデルスゾーンとベルンハルト・セクレスに師事
卒業後はダンス・バンドやミュージカルコメディ等で働く
1914〔20才)~23年フランクフルト歌劇場管弦楽団副コンサートマスタ-、17年コンサートマスタ-就任
1914年レープナー弦楽四重奏団第二ヴァイオリン奏者
1915年父が第一次世界大戦で戦死
1917~18年第一次世界大戦徴兵され連隊軍楽隊員
戦後フランクフルトに戻る
1921~29年アマール=ヒンデミット弦楽四重奏団を結成しヴィオラ奏者
1922年ザルツブルク現代音楽祭で作品が演奏される
1923~29年バーデン・バーデン、ドナゥエッシンゲン音楽祭組織委員会委員
1924年結婚
1927~38年ベルリン・ホッホシューレ音楽大学作曲科教授、ベルリン、シャルロッテンブルク音楽院教授
1933年頃からナチスと複雑な関係になりナチスから退廃音楽と指摘され弾圧を受ける
1934年「ヒンデミット事件」起こる(詳細は後段に記載)
1935年カイロを訪れる。トルコ政府の招きで音楽教育の委託を受けアンカラ州立音楽院等の発展に尽力する
1938年スイスに移住
1940~53年年アメリカ合衆国に移住しイェール大学教授就任
1945~53年コレギウム・ムジクム指揮者
1946年アメリカ合衆国市民権を得て帰化
1949~50年ハーバード大学講師
1951~57年チューリッヒ音楽院教授
1953年ヨーロッパに戻りチューリッヒに移住し永住権を得る。その後は指揮者活動
1956年ウイーン・フィルと共に来日し指揮。
4.主な作品
オペラ
殺人者、女達の望み(Mörder, Hoffnung der Frauen )op.12 (1919年)
ヌシュ=ヌシ (Das Nusch-Nuschi )op.20 (1920年) 人形劇のための音楽
聖スザンナ (Sancta Susanna )op.21
カルディヤック (Cardillac )op.39 (1926年) <原作はE.T.A.ホフマンの『スキュデリ嬢』>
行きと帰り(Hin und Zurück )op.45a (1927年)
今日のニュース (Neues vom Tage ) (1928年 – 1929年、改訂:1953年)
画家マティス (Mathis der Maler ) (1934年 – 1935年)
世界の調和 (Die Harmonie der Welt ) (1936年 – 1957年)
長いクリスマスの会食 (Das lange Weihnachtsmahl ) (1960年)
舞踊作品
悪魔(Der Dämon ) (1922年)
ダンス・パントマイムのための曲。
トリアディッシェス・バレエ(英語版)(オスカー・シュレンマー)(1923年)
気高い幻想(レオニード・マシーン)(1938年)
エロディアード(Hérodiade ) (1944年)
バレエのための語りと音楽。
付随音楽
トゥティフェントヒェン(Tuttifäntchen ) (1922年)
クリスマス用児童劇のための曲。
教育用音楽(Lehrstück ) (1929年)
ブレヒトの作品のための音楽。
街を作ろう (Wir bauen eine Stadt ) (1930年)
R.ザイツの児童劇のための曲。
映画音楽
猫のフェリックス (Felix the cat ) (1927年)
機械オルガンの曲。
管弦楽曲
おどけたシンフォニエッタ (Lustige sinfonietta )op.4 (1916年) 室内管弦楽のための作品
交響曲「画家マティス」 (Symphonie “Mathis der Maler” ) (1934年)
同名の歌劇に先だって作曲された。
交響的舞曲(Symphonische Tänze ) (1937年)
交響曲変ホ調 (Symphonie in Es ) (1940年)
ウェーバーの主題による交響的変容(Symphonische Metamorphosen über Themen von C.M. von Weber ) (1943年)
ウェーバーの付随音楽「トゥーランドット」と「ピアノ連弾曲集」からの4つの自由な変奏曲。
シンフォニア・セレーナ (1946年)
ダラス交響楽団の委嘱作品。
シンフォニエッタ ホ調 (Sinfonietta in E ) (1949年) 小管弦楽のための作品
交響曲「世界の調和」 (Die Harmonie der Welt ) (1950年 – 1951年)
旧バーゼル室内管弦楽団創立25周年記念のために作曲。同名のオペラの音楽から改作したもの。
ピッツバーグ交響曲 (Pittsburgh Symphony ) (1958年)
ピッツバーグ市創立200年記念のために作曲。
管弦楽のための協奏音楽(演奏会用音楽)(Konzertmusik für Orchester )op.38 (1925年)
弦楽と金管のための協奏音楽(演奏会用音楽)(Konzertmusik für Streichorchester und Blechbläser )op.50 (1930年)
ボストン交響楽団創立50周年記念の委嘱作品。
フィルハーモニー協奏曲 (Philharmonisches Konzert ) (1932年)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団創立50周年記念の委嘱作品。
組曲「気高い幻想」 (Suite “Nobilissima visione” ) (1938年)
同名のバレエ音楽から改作。
序曲「エロスとプシュケ」(Ouvertüre “Amor und Psyche”) (1943年)
「あるバレエのための序曲」と副題されている。
古いスイスの歌による行進曲(Marsch über den alten “Schweizerton” ) (1960年)
バーゼル大学創立500年記念のために作曲。
吹奏楽曲
吹奏楽のための協奏音楽(演奏会用音楽) op.41 (1926年)
吹奏楽のための交響曲変ロ調(1951年)
ワシントン陸軍音楽隊のH.カーリ少佐の委嘱作品。
協奏曲
チェロ協奏曲 op.3 (1915年 – 1916)
室内音楽 (Kammermusik )
第2番 op.36-1 (ピアノ協奏曲) (1924年)
第3番 op.36-2 (チェロ協奏曲) (1925年)
第4番 op.36-3 (ヴァイオリン協奏曲) (1925年)
第5番 op.36-4 (ヴィオラ協奏曲) (1927年)
第6番 op.46-1 (ヴィオラ・ダモーレ協奏曲) (1927年)
第7番 op.46-2 (オルガン協奏曲) (1927年)
ヴィオラと大室内管弦楽のための協奏音楽 op.48 (1930年)
トラウトニウムと弦楽合奏のためのコンツェルトシュテュック(Konzertstück für Trautonium und Streichorchester )op.50 (1931年)
トラウトニウム (Trautonium) は電子楽器。
白鳥を焼く男 (Der Schwanendreher )(ヴィオラ協奏曲) (1935年)
古い民謡の旋律によるヴィオラ協奏曲。題名は第3楽章に用いられた民謡に由来する。
葬送音楽 (Trauermusik ) (1936年)
ヴィオラ(またはチェロ、ヴァイオリン)と弦楽合奏のための作品。イギリス国王ジョージ5世追悼のために作曲。
ヴァイオリン協奏曲(1939年)
チェロ協奏曲 (1940年)
4つの気質 ピアノと弦楽オーケストラのための主題と変奏 (Die vier Temperamente – Thema mit vier Variationen ) (1940年)
ピアノ協奏曲 (1945年)
クラリネット協奏曲 (1947年 – 1949年)
ホルン協奏曲 (1949年)
木管楽器、ハープと管弦楽のための協奏曲 (1949年)
トランペット、ファゴットと弦楽のための協奏曲 (1949年)
オルガン協奏曲 (1962年)
室内楽曲
室内音楽 (Kammermusik )
第1番 op24-1 (12の独奏楽器のための)
八重奏曲 (1957年 – 1958年) (クラリネット1、ファゴット1、ホルン1、ヴァイオリン1、ヴィオラ2、チェロ1、コントラバス1)
管楽七重奏曲 (1948年)(通常の木管五重奏+バスクラリネット、トランペット)
ピアノ五重奏曲 op.7
クラリネット五重奏曲変ロ調・変ホ調 op.30 (1923年)
小室内楽曲 op24-2 (1922年) (木管五重奏曲)
5つの楽器のための3つの小品 (1925年) (クラリネット・トランペット・ヴァイオリン・コントラバス・ピアノ)
弦楽四重奏曲
第1番ハ長調 op.2 (1915年)
第2番ヘ短調 op.10 (1918年)
第3番 op.16 (1920年)
第4番 op.22 (1921年)
第5番 op.32 (1923年)
第6番変ホ調 (1943年)
第7番変ホ調 (1945年)
朝7時に湯治場で二流のオーケストラによって初見で演奏された「さまよえるオランダ人」序曲(1925年頃)
金管楽器のための朝の音楽 (1932年) (金管五重奏)
ピアノ、クラリネット、ヴァイオリンとチェロのための四重奏曲 (1939年)
4つのホルンのためのソナタ (1952年)
弦楽三重奏曲
第1番 op.34 (1924年)
第2番 (1933年)
クラリネット、ホルンとピアノのための三重奏曲 op.1
ピアノ、ヴィオラとヘッケルフォン(またはテナー・サクソフォーン)のための三重奏曲 op.47
ヴァイオリンソナタ(ヴァイオリンとピアノ)
ヴァイオリンソナタ 変ホ長調 op.11-1 (1918年)
ヴァイオリンソナタ ニ長調 op.11-2 (1918年)
ヴァイオリンソナタ ホ調 (1935年)
ヴァイオリンソナタ ハ調 (1939年)
ヴィオラソナタ(ヴィオラとピアノ)
ヴィオラソナタ ヘ調 op.11-4 (1919年)
ヴィオラソナタ op.25-4 (1922年)
ヴィオラソナタ ハ調 (1939年)
チェロソナタ(チェロとピアノ)
チェロソナタ イ短調 op.11-3 (1919年)
チェロソナタ ホ調 (1948年)
チェロとピアノのための3つの小品 op.8 (1917年)
3つのやさしい小品 (1938)
古いイギリスの民謡「求婚に出かけた蛙」による変奏曲 (1941年)
瞑想曲 (Meditation ) (1938年)(ヴァイオリンまたはヴィオラ、チェロとピアノ)
ヴィオラダモーレ小ソナタ op.25-2 (1923年)
コントラバスソナタ ロ調 (1949年)
フルートソナタ 変ロ調 (1936年)
トーマス・モアの詩によるエコー (1942年) (フルートとピアノ)
オーボエソナタ ト調 (1938年)
イングリッシュホルンソナタ 嬰ハ調・ヘ調 (1941年)
クラリネットソナタ (1939年)
ファゴットソナタ 変ロ調 (1938年)
ホルンソナタ ヘ調 (1939年)
トランペットソナタ 変ロ調 (1939年)
トロンボーンソナタ ヘ調 (1941年)
アルトサクソフォーンソナタ 変ホ調 (1943年)
チューバソナタ 変ロ調 (1955年)
独奏曲
無伴奏ヴァイオリン・ソナタ
op.31-1 (5楽章) (1924年)
op.31-2 (4楽章) (1924年)
無伴奏ヴィオラ・ソナタ
op.11-5 (1919年)
op.25-1 (1922年)
op.31-4 (1923年)
(1937年)
無伴奏チェロ・ソナタ op.25-3 (1923年)
ハープ・ソナタ (1939年)
無伴奏フルートのための8つの小品 (1927年)
オルガン・ソナタ
第1番 (1937年)
第2番 (1937年)
第3番「古い民謡による」(Über alte Volkslieder ) (1940年)
ピアノ曲
2台のピアノのためのソナタ(1942年)
7つのワルツ(ピアノ連弾)op.5
ピアノ連弾ソナタ(1938年)
ピアノソナタ
第1番 イ調「マイン川」(1936年)
第2番 ト調(1936年)
第3番 変ロ調(1936年)
ピアノソナタ op.17(1917年)
「ある夜に」op.15(1921年)
舞曲集 op.19(1922年)
組曲「1922年」op.26(1922年)
ピアノ音楽 op.37
第1部 三つの小品による練習(1925年)
第2部 一連の作品(1927年)
ルードゥス・トナリス(対位法・調性およびピアノ奏法の練習)(1942年)
歌曲
歌曲集『マリアの生涯』
合唱曲
古い詩文による歌(1923年)
古い詩文による5つの歌(1937年/1938年)
6つの歌(1939年)
4声の男声のための合唱(1939年)
戸口に咲き残りのライラックが咲いた頃―愛する人々へのレクイエム (1946年)
神の定めの日は来たらん(1947年)
5声のマドリガル(1958年)
ミサ (Messe ) (1963年)
男声合唱曲
春について
薄明りの真夜中
汝すべてを与うべし
Fürst Kraft
男の夢想
死
初雪
古い踊りの歌による変奏曲
Gar viele gibt’s, die halten sich für Amigos
絞首台の悪魔
5.その他
1.1962年「バルザン賞」受章
2.門下に下総皖一、坂本良隆
3.「ヒンデミット事件」ナチスはヒンデミットがユダヤ人音楽家と組んでレコーディングすることに対し快く思っていなかった。ヒトラーはオペラ「その日のニュース」で女性歌手のヌードシーンがあることを快く思わず、厳しい処置をとることを考えていたと思われる。フルトヴェングラーはシーズンのプログラムでオペラ「画家マティス」を上演すべく進めていた。ベルリン歌劇場長官のゲーリングは、ヒトラーからのヒンデミットのオペラ上演禁止の通達を受ける。フルトヴェングラーは職を辞さない構えで擁護し論評した 「ヒンデミットを排斥しようとする動きを、根拠のない言いがかり」と断じ、「ヒンデミットは現代ドイツの音楽において、必要不可欠な人物であり、これを容易に切り捨てることは、いかなる理由があろうとも許されるべきではない」と論じ新聞にヒンデミット擁護の記事が報道された。しかし、ヒトラーからの最後通告が出され上演禁止となる。フルトヴェングラーはベルリン・フィル及びベルリン国立歌劇場の音楽監督も辞任し、ヒンデミットは王立音楽院を辞任した
6.初演
7.関連動画
Paul Hindemith & Chicago Symphony Orchestra – Full Concert
1.Paul Hindemith: Konzertmusik for Brass and String Orchestra, Op. 50 (1930)
2.Anton Bruckner: Symphony No. 7 in E major, 1st movement (1881-1883)
3.Johannes Brahms: Academic Festival Overture, Op.80 (1880)
Paul Hindemith, conductor / Chicago Symphony Orchestra
Telecast of April 7, 1963
ルードゥス・トナリス
副題「対位法・調整およびピアノ奏法の練習」
Ludus Tonalis
Composer: Paul Hindemith
Performer: Sviatoslav Richter (piano)
Year of recording: 1985 (live at “Fêtes Musicales en Touraine”, France)
弦楽四重奏 第一番
Paul Hindemith – String Quartet No. 1 in C major, Op. 2
– Composer: Paul Hindemith (16 November 1895 — 28 December 1963)
– Performers: Danish String Quartet
– Year of recording: 1995
String Quartet No. 1 in C major, Op. 2, written in 1914-1915.
弦楽四重奏 第二番
String Quartet No. 2 in F minor, Op. 10, written in 1918.
– Composer: Paul Hindemith (16 November 1895 — 28 December 1963)
– Performers: Kocian Quartet:
Pavel Hůla (violin), Jan Odstrčil (violin), Zbyněk Paďourek (viola), Václav Bernášek (cello)
– Year of recording: 1995
弦楽と金管のための協奏音楽(演奏会用音楽)
Konzertmusik, for Brass & Strings, Op. 50
– Composer: Paul Hindemith (16 November 1895 — 28 December 1963)
– Orchestra: Israel Philharmonic Orchestra
– Conductor: Leonard Bernstein
– Year of recording: 1989
ヒンデミット 「ウェーバーの主題による交響的変容」
Paul Hindemith – Symphonic Metamorphosis (1943)
San Francisco Symphony Orchestra conducted by Herbert Blomstedt
Paul Hindemith – Mathis der Maler
Paul Hindemith – Symphony “Die Harmonie der Welt” (1951)
Leonard Bernstein: Young People’s Concerts Vol. 2 | The Genius of Paul Hindemith