作品:
➊. 「ミクロログスMicrologus~音楽芸術の修練について」(1025–1026年頃)
ボエティウスの著作に次いで中世で最も広く普及した音楽書であり、当時の実践的な音楽理論や作曲、歌唱法について体系的にまとめられている。
ミクロロゴスは音楽理論に関するグイドの主要な著作である。1023年からアレッツォ司教を務めたテオダルトに献呈されている。本書では、ut、 re、 mi、 fa、 sol、 laまでの文字がオクターブごとに繰り返されるアルファベット表記法が用いられており、音楽の専門家に向けて書かれている。
グイドによって書かれた中世音楽に関する論文で、トスカーナ教区のテオダルドゥスTheodaldus司教に捧げられた。この論文は、グレゴリオ聖歌の歌と指導の実践を概説し、ポリフォニック音楽の作曲について記している
この書は中世を通じて修道院で使われた。それ以降も大学でも使われた。中世において最も実用的な功績を残した理論家であった。
・聖歌の歌い方等の音楽の指導書「ミクロログス」を著わした。
・グイド・ダレッツオ「ミクロログス(音楽小論)Micrologus」、中世ルネサンス音楽史研究会訳、春秋社、2018年】がある
➋. 「韻文規則Regulae rhythmicae」(1026年以降)
記譜について[の説明が]始まる。 私たちは、聖歌を学ぶためには、少なくとも3ヶ月間まじめに使い続けるのであれば、音を文字だけで記すこと以上にやさしい[方法は]ないと考えてきた。
一方、ネウマも、文字に比べて場所を取らないので普通に使われている。ネウマは、注意深く使い、次のように線と共に文字がいっしょに書かれるのなら、文字の代わりになる。
そして学習が進んだら、2本の線の間に1つの音を置こう。もちろん、様々な状況において様々な置き方が存在することを理性は求めている。
(註:原著はネウマ譜があり説明されている。)(編者訳)
音楽理論の規則を詩で表現した作品。詩の形式を選んだのは、歌手が内容を暗記しやすくするためである。
➌. 「アンティフォナリウム(聖歌集)への序文Prologus in Antiphonarium」(1030-1031年頃)
これは、五線譜(またはそれに類する線譜)を用いた、現在は失われてしまった典礼音楽書の序文である。
楽曲の音域に応じて、線の数は適宜変更され、その線上にネウマが記されていた。音高は、譜の冒頭に置かれた音部記号(一般的にはハ音記号やヘ音記号)によって読み解くことができた。
・どんな楽曲を表記する場合にも標準的に使える記譜法を説明した音楽教師向けの実践的なテキストを著した。
楽曲の記憶を補助するこの優れたテキストは巷間に流布し、多くの写本が作られた。
➍. 書簡「未知の旋律についてミカエルMichele宛てad Michaelem de ignoto cantu」
これは、グイドが1032年以前にアレッツォから、ポンポーザ修道院の修道士である友人ミカエルに宛てて書いた手紙である。手紙は3つの部分に分けられる。第一部は自伝的な内容、第二部はグイドの視唱法に関する記述、そして第三部は『リズムの規則』の散文版と思われるもので、初期の写本に後から挿入されたものと考えられる。
➍. 「ミカエルへの未知の聖歌に関する書簡Epistola de ignoto cantu directa ad Michahelem」(1031-1032年頃)
・グイドが1032年以前にアレッツォから、ポンポーザ修道院の修道士である友人ミカエルに宛てて書いた手紙である。手紙は3つの部分に分けられる。第一部は自伝的な内容、第二部はグイドの視唱法に関する記述、そして第三部は『リズムの規則』の散文版と思われるもので、初期の写本に後から挿入されたものと考えられる。
・グイドはかつて名声を博したその修道院で過ごした日々について、数多くの詳細を語っている。そこから明らかになるのは、彼がポンポーサ修道院を「自分自身の場所」と見なしていたことがうかがえる。したがって、彼がそこで教育を受け(「ラヴェンナのグイド」と呼ばれていた聖グイド修道院長から指導直接教育を受けた可能性が高いと思われる)、さらに彼がそこで記譜法や聖歌指導に体系的な構成に関する新たな手法を見出新たな発見をした可能性は極めて高いと言える。楽譜表記や歌唱の体系的な構成に関する新たな手法を見出した可能性は極めて高いと言える。そして最後に、彼が自身の教授法を初めて広めようと試みた際に、仲間の修道士たちから激しい対立を招き、結局修道院を去ることになったという経緯である。
・グイドは視唱方法を書いた。グイドはヨハネ賛歌を完全に憶え、特にフレーズの最初の音符・音節を示しただけで、そのフレーズをすぐに歌いだせるようになっておくこと。新しい曲の楽譜を読む際に、ある音符をどの高さで歌えばよいのかを知るには、対応するヨハネ賛歌のフレーズの開始音を思い出せばよい。そして、そうすると曲の各音符に対してこれを繰り返せばその曲が歌えるようになると説く。これらができると聴音もでき楽譜に書きとめられてない賛歌の各音節が賛歌の、どのフレーズの開始音に当たるのかを聴き分けると、楽譜に正しく書き取ることができると書簡に書いている。
・グイードは友人ミカエルに宛てた有名な手紙の中で、音符の読み方を学ぶために「オドの「音楽についての対話(Dialogus de musica)」(または別名「音楽の手引書」)をよく学ぶように」と強く薦めている。この本は西暦1000年頃に著されたとされたとされている」
グイドは、良く知られていた聖ヨハネの イムヌス(賛歌)、の最初の六章節の冒頭の歌詞を用いた以下の階名読みを考案した。
ut re mi fa sol la
全音 全音 半音 全音 全音
その最初の六行は、2つの全音、半音、2つの全音の音階を形成している。 ヘキサコードと呼ばれ、六行で始まるラテン語の音節に歌われるこの対称的な一連の六つの音符、ut-re-mi-fa-sol-laは、耳の聴力と視唱のための彼の中心的なツールになった。 このヘキサコードをさまざまなピッチレベルにシフトすることで、歌い手は重要なハーフトーン間隔をどこで歌わなければならないかを常に判断できるようになった。
・グイドはヘクサコルド(6音音階)の音程を示すのに、グレゴリオ聖歌における音高認識と視唱を教えるために、パウル・ディアコヌスPaolo Diaconoの聖ヨハネ賛歌『ウート・クエアント・ラクシス(Ut queant laxis)』のサッフォー詩節による冒頭のスタンザの最初の単語からut、 re、 mi、 fa、 sol、 laの各半行の冒頭音節を用いた。
この賛美歌の全文は、トロカイック四歩格(註:)の6つのスタンザ(節)から成り、歌い手たちが妨げられることなく神を賛美できるよう、洗礼者ヨハネに歌声を清めてもらうよう祈願している。これは、キリストの道を備えるという聖人の聖書における役割を象徴している。
註:トロカイック四歩格とは、4つのトロカイック音節から構成される詩行であり、 1行全体で合計8音節(/u/u/u/u)のリズムパターンになる。トロカイとは、強勢音節の後に強勢のない音節が続く韻律のことで、古典的な量韻律では長音節の後に短音節が続くのと同等である。この形式は、2つのトロカイを持つディメーターや5つのトロカイを持つペンタメーターなど、他のトロカイック韻律とは異なり、1行あたり4つの音節という独特の構造を持っている。「トロキー」という名前は、ギリシャ語の「トロカイオス」に由来し、「走る」という意味で、足のパターンに内在する下降または落下するリズムを想起させる。しばしば最後の無強勢音節を欠いたカタレクティック形式で現れるこの韻律は、切迫感や呪文のような感覚を生み出す7音節の行を作り出す。
ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラの型の6音の記憶を基礎にして視唱を教える方法を完成した。ミとファとの間が半音であとは全音である。グイードはこの型を記憶する助けとして《「ヨハネ讃歌」の歌詞の「一番」原典はカトリック教会での「洗礼者聖ヨハネの誕生」の祝日、6月24日の第二晩課の時に歌われていた》というよく知られた賛歌で、6つの句のそれぞれがこの型の音符のひとつで始まり、しかも一句ごとに上昇するようになっている、一番目の句はut、re、mi、fa、sol、la(ウト、レ、ミ、ファ、ソル、ラ)が音符の名前になった。ウトの代わりにド、ラの上にシをつけ加えている点を除けば、現在の楽譜表記法のドレミの原案を考案したという。今日でも音の名前はこの方法で学ばれている。
6. 関連動画
⬇ youtube《聖ヨハネ賛歌 UT QUEANT LAXIS》NATIVITÀ DI SAN GIOVANNI BATTISTA – B
Ut queant laxis resonare fibris
Mira gestorum famuli tuorum,
Solve polluti labiis reatum,
Sancte Joannes.
⬇ youtubeHimno a San Juan Bautista (Guido d’Arezzo)
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William Mahrtミラー・マルハート教授による、バブテストのヨハネを賛歌した8世紀ラテン語の賛美歌
Guidonian Hand
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⬇ youtubeThe Guidonian hand medieval notation printed on palms, for people to sing
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⬇ youtubeCoro Iride – Concorso Nazionale Guido D’Arezzo 2009
⬇ youtubeUt queant laxis resonare fibris – Guido d’Arezzo
⬇ youtube《The Tale of Guido d’Arezzo: An Interactive Storybook about the Inventor of Music Notation》
https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=594709)
⬇ youtube「The Story of Guido」 Music History Crash Course