小澤征爾物語シリーズ‐10‐1961年

小澤征爾物語シリーズ‐10‐1961年演奏会記録

1961年(昭和36年)26歳

【楽歴】

小澤征爾物語 シリーズ-2 トピックス

【主な活動】
・2月ベルリン・フィル初指揮
・4月ニューヨーク・フィル副指揮者に就任
・4月ニューヨーク・フィルを指揮してカーネ
ギー・ホールデビュー
・4-5月ニューヨーク・フィル日本公演に同行
 ニューヨーク・フィルを指揮し日本デビュー
・6月日本フィルを指揮してデビュー
・7月NHK交響楽団と杉並公会堂で初放送録音

【記録】
2月20日 「日独修交100年記念」でベルリン・フィルハーモニーを初指揮
曲目
石井眞木《小オーケストラのための七章》
入野義郎《小オーケストラのためのシンフォニッタ》
モーツァルト《交響曲第28番》
小澤征爾 ベルリン・フィルハーモニー

3月半ばごろ征爾はニューヨークへ向かった。

・バーンスタイン音楽監督の下でニューヨーク・フィルの副指揮者に就任。
・バーンスタインとの親交はこの時から生涯続くことになる。
『副指揮者はリハーサルに立ち会い、指揮者に何かあれば代役をこなすこともある。僕以外に2人いた。給料は週給100ドル。小切手でもらうのだが、どう換金するのか見当がつかない。困っていたらニューヨーク・フィルのティンパニーのソウル・グッドマンが、僕をカーネギーホール裏の酒屋へ連れて行った。「ここのおやじなら大丈夫だ」と言うので、僕はそこで毎週現金に換えてもらった。音楽家のユニオンの費用を差し引くと、手元に残るのは90ドルあるかないか。生活するのがやっとでいつも腹をすかせていた。この頃よく酒を飲ませてくれたのが彫刻家のイサム・ノグチと流政之だ。』
『ニューヨーク・フィルは4月に日本公演を控えていた。もちろん、僕も一緒に行くことになっている。』
4月13,14,16日
バーンスタインの演奏会に出演
黛敏郎《饗宴》初演
小澤征爾 ニューヨーク・フィル
カーネギー・ホール デビュー
https://archives.nyphil.org/index.php/artifact/6f73fd6f-de15-4236-8ed3-db2e2f27ab9e-0.1/fullview#page/1/mode/2up
4月24日『僕は日本航空の特別機で羽田空港に着いた。』
征爾は、ニューヨーク・フィル日本公演に同行し帰国した。神戸港を出発して2年3カ月ぶりだった。
『約2年ぶりの日本だ。ハッチが開くと、みんなが「セイジが先に降りろ」と僕を押し出してくれた。出迎えていたのは懐かしい顔ぶれだ。おやじ。おふくろ。兄貴たちに弟のポン。成城の合唱グループ「城の音」のみんな。斎藤秀雄先生もいた。じーんと来た。』
『』 小澤征爾「私の履歴書」より要約)
   
5月5日 ニューヨーク・フィル日本ツアー「1961 東京世界音楽祭」 日本デビュー
黛敏郎《 バッカナーレ(饗宴)》
小澤征爾 ニューヨーク・フィルハーモニー交響楽団
東京文化会館
『5月5日、僕はできたばかりの東京文化会館で黛敏郎《バッカナーレ(饗宴)》を指揮した。行きの飛行機でレニーに「おまえがやるんだぞ」と言われていた』
https://archives.nyphil.org/index.php/artifact/adb27b05-53fa-4567-95a5-8b2e519e0d7b-0.1/fullview#page/1/mode/2up
『全く感激のデビューだったが、残念だったことがある。客席にいたはずの斎藤先生は終演後、僕を訪ねないで帰ってしまったのだ。話したいことはいっぱいあった。ヨーロッパにいる間も折々に手紙を出していたけれど、僕が勝手に外国へ飛び出したことが尾を引いていた。先生はドイツで音楽を勉強した人だから、僕にはドイツのオーケストラを指揮してほしかったのかもしれない。何となくまだぎくしゃくしていた。』
・バーンスタインが川崎にある小澤家を訪問した。

6月22日 日本フィルハーモニー交響楽団「第34回東京定期演奏会」を指揮 
曲目
ベルリオーズ《ローマの謝肉祭》 op.9 序曲
ドビュッシー《牧神の午後への前奏曲》
フォーレ:劇付随音楽《ペレアスとメリザンド》組曲 op.80
チャイコフスキー《交響曲第5番》ホ短調 op.64
指揮:小澤征爾 日本フィルハーモニー交響楽団
日比谷公会堂

7月 録音
杉並公会堂における放送録音が、小澤にとってNHK交響楽団との初顔合わせとなった

9月8日 録音
「黒人霊歌集 Negro Spirituals」
1. だれも知らない私の悩み
2. 海を渡れ
3. ドライ・ボーンズ
4. ゆれるよ幌馬車
5. 少年ダビデよ竪琴ならせ
6. 主はダニエルを救い給う
7. イエスのもとにのがれよう
8. 人皆祈りぬ
9. 時には母のない子のように
10. ゆけ、モーゼ
「ミュージカル・ハイライト Musical Highlight」
11. おお美しき朝~「オクラホマ !」より
12. サマータイム~「ポーギーとベス」より
13. セプテンバー・ソング~「ニッカボッカ・ホリデイ」より
14. 君はわがすべて~「ベリー・ウォーム・フォー・メイ」より
15. バリ・ハイ~「南太平洋」より
16. トゥナイト~「ウエスト・サイド物語」より
17. 人生はひとりじゃない~「回転木馬」より
東京混声合唱団
ビクター・アンサンブル(1-10)
原信夫とシャープ&フラッツ(11-17)
ビクター第1スタジオ (1-10)
文京公会堂ライヴ録音 (11-17)
指揮 小澤征爾
征爾は、日本フィルハーモニー交響楽団を指揮して、夏の終わりまで日本で過ごしてからニューヨークに戻った。

10月14日 ニューヨーク・フィル・ヤング・ピープルズ・コンサートを指揮
曲目
ラヴェル《ダフニスとクロエ》
ドビュッシー《サクソフォンと管弦楽のための狂詩曲》
小澤征爾 ニューヨーク・フィルハーモニック
シグールト・ラッシャー(サクソフォーン)
カーネギーホール

『給料が150ドルに上がった。いつもの酒屋に小切手を持って行ったら、おやじが「おっ、上がったな」とニヤリとした。』

https://archives.nyphil.org/index.php/artifact/536ea893-69c1-4245-a693-e00d7b23b470-0.1/fullview